“届かなかったあのポイント”に届く ここでTWSの特徴を紹介したい。TWSはクラッチに連動してラインのポジションを変える。キャスティング時に、ラインはTシェイプレベルワインドの幅広部を通り、リトリーブ時には下部の溝に誘導される。ウイング開閉を伴うオープンフェイスに対し、ターンアラウンドは回転軸に対する動きのみで成立する。横幅の広いTシェイプレベルワインドはキャスティングの際は横幅目一杯を使用する。つまり、スプールからラインが出る最初の抵抗となるレベルワインド部分での放出力が大きく向上することから、スプールの回転を失速させることなくラインがスムースに放出され、飛距離を伸ばすことが可能となる。従来型レベルワインドが中央に位置する場合、無抵抗範囲は約16%。T3のレベルワインドが中央に位置する場合は約74%だ。結果、実に従来比で4.6倍に値する。T3では従来比で飛距離5.3%アップという数値を叩き出した。この実験結果は実際のシーンにおいてアングラーの射程面積で10.9%もカバー率を上げる。一言でいえば、“届かなかったあのポイント”が攻められるのだ。リトリーブ時はT型下部の溝にラインを誘導。タイトかつ平行に巻き取れるので、再びキャストする際のスムースなライン放出をサポートしてくれる。
バスとの出会いが増える まず、Tシェイプレベルワインドは、ライン放出がスムーズなので、極めてバックラッシュしにくい。よって、キャスト回数が増える上、手返しもアップする。次にTWSはフリーフォール性能向上という利点も持つ。ラインの放出抵抗が少ないため、着水後もスムースにラインを送りだす。ライン放出が悪く、意図していないのにカーブフォールになってしまうことを防ぐのだ。狙ったポイントの真下にルアーを落とせるということは、アングラーの感覚とルアーの位置・動きがリンクするということでもある。手返しがアップする上に、ポイントにルアーを送り込みやすいということは、必然的にバスとの出会いを増やす結果につながるのだ。また、ラインの放出抵抗が軽減されたことは飛距離のアップだけでなく、ピンポイントにルアーを送り込む正確さという利点も創出する。ルアー着水後も抵抗なくラインを送りだせることで自然なフォールが可能となり、バスの口元に違和感なくルアーを送りこむことが可能となる。
さらに広がる可能性
2014年、TWSは2つのスタイルを展開する。T3シリーズに搭載するオープンフェイス、TATULAに搭載したタフなリールを実現するターンアラウンド。得意な戦略に合わせて自由に選択して欲しいと開発担当者は語る。「T3シリーズはウイング開閉ギミックの面白さとロープロで流れるような曲線デザインを評してスポーツカーのようだと言う人もいます。反対にTATULAはあくまでもタフ。無骨な表情はそのまま性格を表しています。」T3シリーズとTATULA。TWS搭載でありながら、両者の個性は違う。だが“飛ぶ興奮”は共通。バスフィッシングにおけるキャスティングはすべての出発点。キャストが決まればモチベーションは確実に上がる。ブレーキだけではない。欲しいのは放出力だ。すべてのアングラーに飛ぶ楽しさと狙う醍醐味をTWSが呼び起こす。 |